楽器

2026.06.02

イーストエンド国際ギターフェスティバルでの各種イベント

リサイタルについては(ここここで)書きましたので、そのほかのイベントをまとめて書いておきます。

704406791_35698825226428818_354785601934 東京ギター展示会
毎年多くの製作家が新作ギターを携えて集まり、自由に試奏できるという楽しくも危険なイベント。今年も素晴らしいギターがそろいました。
弾いた中で印象に残っている楽器を列記します。(敬称略)

小林良輔
今回は杉トップ。新しい構造と合わせて立ち上がりが良い。でも小林ギターの木質を感じる音色や分離の良さは他のギターとも共通している。ナチュラルな塗装が美しく杉もいいかもなんて思いました。(危険だ)

・君島聡(河野ギター製作所
2022年からずっと試奏していますが、いつものことながら音量、バランス、弾きやすさとも申し分ない。日本材のギターが美しくもいい響き。(これも危険)

佐久間悟
ヨーロッパの伝統的ギター音を再現していてハウザーよりもハウザーらしいハウザーモデルと感じた。音量も申し分なく現代的弾きやすさもある。プロのユーザーが多いのも納得。ガラコンサートでディオン・チョさんがいい音出してました

関場大一郎
クラファンに参加してステファニーちゃん河野さんの試奏コンサートを見てから、どう成長しているか気になっている楽器。昨年試奏したときはブーシェらしい難しさを感じたが、以降プロの方が弾きこんだそうで音が出しやすくなったと感じた。透き通った音色は変わらないものの丸みが出てきたようにも思った。


試奏コンサート
展示楽器がホールで試奏されるコンサートを2コマ聴きました。

・尾崎琴音 × 閑喜弦介
Img_20260530_104631 尾崎さんはソルの同じ曲ですべてのギターを弾くという、誰もやってないけど試奏に相応しいスタイルでスタートして好印象でした。音が美しく演奏も手堅い方で今後の成長が楽しみです。
Img_20260530_113516 閑喜さんのコンサートはいろいろ行っているので一度は聴いたオリジナルや編曲ながら響きの良いホールで聴くのは格別で、楽器の違いを感じされてくれていましたが、音楽そのものを楽しむことに気持ちが行ってしまいました。ラミレスも良かったですよ。

・宮下祥子 × アントワーヌ·ボワイエ
Img_20260530_125201 楽器に合わせて曲を選んだり表現を考えるという心配りが感じられる演奏で、宮下さんは日本の巨匠だなあと思います。ビラロボスの協奏曲のカデンツァは圧巻でした。
ボワイエさんの演奏はこちらのとおり、異次元のものでぶっ飛びました。


ガラコンサート
705194280_35698851263092881_108332610026 今年も素晴らしいメンバーが揃って豪華なコンサートになりましたので、かいつまんで。
コンクールで45歳以上の特別賞を取られた三浦さんがはボッケリーニのソナタの第4楽章を立派に弾かれたのは素晴らしかった。
コンクール優勝者も含めアジアの若いギタリストのレベルも上がっていることを感じ、高齢化しがちなギター界を盛り上げていく交流の場になっていることを喜ばしく思いました。岡本拓也さん、斎藤優貴さん、ディオン・チョさん、ノッパコーン・ウアシリヌクロさんがの最後に弾いた四重奏の演奏にそれが現れていたことが素晴らしい。
その他、閑喜さんのいつもながらかっこいいジャズナンバーにしびれ、小暮浩史さんのフオッコで盛り上がり、宮下さんのカデンツァで巨匠再び、ボワイエさんのヤマンドゥナンバーで再度盛り上がり、イリーナさんの4曲も弾くサービス精神と、盛りだくさんの内容でおなかいっぱいになりました。
All 最後は演奏者、製作家、スタッフがステージに集まり大団円で3日間の祭典が締めくくられました。

終わって2日経ちますが、いまだに家ではイベントの話ばかりしていて、フェスティバルロスになっています。
毎回繰り返しになりますが、こんなに楽しいイベントを毎年開催してくれる樋浦さん夫妻には感謝することしきりです。今年もありがとうございました。

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2025.09.11

河野智美サロンコンサート

532869346_1217663800163923_2880843310922 友人が行けなくなった代理での急遽の参加でしたが、メディア・カーム河野智美さんの演奏でブーシェと今井勇一さんの楽器の音を間近で聴ける貴重な機会をいただきました。(Kさんありがとうございました。)

まずは今井さんの楽器で大聖堂から。杉らしい立ち上がりが良い美しい音で緩急の幅があるこの曲にフィットしていたように思います。
次はブーシェで、バッハでリュート組曲2番のフーガとサラバンド、バイオリンパルティータ1番のサラバンドとドゥーブル。音の分離の良さがバッハによく合っていました。リュート2のチャレンジングなBm編曲、「自由に歌うバッハ」も河野さんらしい。
今井ギターに戻って弾かれたサンスのエスパニョレッタはカラッとした音も出せる今井ギターが雅な雰囲気を作り、ロドリーゴのカデンツァを交えたカナリオスでは、さすがの迫力ある音圧で堂々としたコンサートプログラムとして響き渡りました。
ここで弾かれた大事な曲を初校時書き忘れてました。佐藤弘和さんの「青空の向こうに」は自分にとって思い出深い名曲で、佐藤さんらしい充実した和音を今井ギターの豊かな響きが活かしていたように思います。
そして、戦場のメリークリスマスではブーシェの凝縮感ある音と和音の分離・バランスの良さが発揮されていて、何回かコンサートを経たからか、前回他所でこの楽器での演奏を聴いたときにも増して曲の美しさが引き出されていたと思います。
最後にビートルズの「フール・オン・ザ・ヒル」「イン・マイ・ライフ」が今井ギターで演奏され、ポピュラー音楽との相性も良い汎用性が発揮されたように思いました。

アンコールとしてメディア・カームの服部文厚さんとの二重奏でカバティーナが演奏されました。服部さんのマーチン・フリーソンははなかなかの音量かつ太い音で素晴らしかったのですが、河野さんがあえて持ち替えたブーシェはその音質ゆえか存在感があり、不思議なバランスで聴きました。

Img_20250910_183542 今回はビルの1室にあるお店の中で超近距離で(最前列正面に陣取って(^_^;)聴きましたのでギター視点を中心に書きましたが、11月に予定されているリサイタルは響きが良いと言われる王子ホールで開催されるので、総合的な観点で聴きたいと思っています。

いずれにしても、河野さんのある意味記念すべき日にギターの音を堪能するイベントでご一緒できたことを嬉しく思っております。

<追記>私の後頭部が写り込んでいる河野さんの投稿を張っておきます。

<追記>メディア・カームのYouTubeチャンネルで当日のダイジェストが公開されました。

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2025.08.25

原田斗生銘器弾き比べインストアライブ

536981351_1337921408336626_5806693855829 ロサワ楽器ドクターサウンドで行なわれた原田斗生さんのインストアライブにうかがいました。

これまたすごいものを聴いてしまいました。

最初はハウザー3世でビラロボスのエチュード11番から。良い意味でハウザーとは思えない迫力ある音が繰り出されて圧倒されます。
続いて、ジュリアーニの大序曲!普通の人だと3連が若干緩やかに弾かれるのですが、まったくスピードが落ちず、これまた圧巻の演奏。
ハウザーでの最後は、マイヤーズのカバティーナ・こちらはしっとりと歌う演奏ですが、アルペジオの音の分離が美しい。

次はベルナベで、武満徹の森の中へからウェインスコット・ポンドというある意味意外な選曲。しかし、近くで見るとコードチェンジ時の指の押さえ換えが異常な動きであることが分かるのですが、それを難なく押さえて発音していることに驚きました。
さらに、スペインの楽器ということで、ロドリーゴの祈祷と舞踏!しかも難易度の高いロメロ編が弾かれました。これがベルナベのスペイン風味あふれる音で完璧に弾かれるんですから衝撃的です。今まで聴いた実演の中で最高の演奏だったと思います。
ベルナベでもう1曲アサドのエリの肖像。これまた現代的ながら調整感もあって美しく難しそうだなと思って後で聞いたらアサドでした。難局を連発するパワフルさに脱帽です。

Img_20250824_115208 最後はマーク・ウシェロヴィッチが弾かれました。まず、バッハのカンタータから声部を弾き分ける繊細さも見せてくれました。
そして、これまた難曲のブローウェルのグラン・サラバンダをダブル・トップらしいパワフルさを生かしてやかに聴かせてくれました。

アンコールはディアンス編の愛の讃歌。これも難易度の高い編曲ですが、美しく奏でられました。
演奏が終わるまでMCなしで一気に弾かれた上に重量級の(しかも事前に知らされていない)プログラムで内容が濃く、フルコンサート並みに充実した演奏を堪能しました。

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2025.06.24

斎藤優貴銘器弾き比べインストアライブ

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クロサワ楽器ドクターサウンドで行なわれたインストアライブを聴きました。

全体にワルツを中心としたコンセプトが明確で、本格的コンサートのようなインストアライブでした。

 

最初はマルセロ・バルベロ・イーホでビラロボスが10代に作ったというワルツから。斎藤さんが言われていたとおり低音の伸びが心地良く高音とのバランスの良さを感じます。

続いてハウザー1世によるコストのワルツ。さすが深みのある響きと透きとおった高音で古名器の音を楽しみました。

途中、斎藤さんの所有楽器サイモン・アンブリッジでの演奏もあり、バリオスのワルツ3番が弾かれました。さすがプロが長年弾き込んでいるだけあり、すばらしい鳴りで圧倒されます。

カルロス・ファン・ブスキエルではバリオスのワルツ4番。美しい楽器で、スペインの明るい響きを感じます。

マヌエル・ベラスケスでは、ポンセの3つのスペイン民謡。
旋律が良く歌われて心地よく聴けるバランスの良さを感じました。

Img_20250622_131046以上楽器視点で 書きましたが、楽器に合わせた選曲、弾きなれてはいないであろう楽器を弾きこなす斎藤さんの技量あってこそとも思います。

最後に再び斎藤さんのサイモン・アンブリッジで2曲。ニャタリの「ダンサ・ブラジレイラ」が聴けたのは嬉しかった。意表を突く和声進行とブラジルらしいリズムが楽しいです。

そして、武満徹の「他人の顔」のワルツが聴けたのも収穫でした。鈴木大介さんの難易度の高い編曲を弾きこなす技量も素晴らしい。
アンコールとして演奏された斎藤さんの自作曲も素晴らしく、 フランス風の美しいメロディと構成感もしっかりした曲で、もっといろいろ聴いてみたいと思わせるものでした。

斎藤さんが参加される佐藤弘和さんの曲を弾くコンサートに行く予定で、大いに期待が高まります。

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2025.05.13

イーストエンド国際ギター・フェスティバル最終日

Pdmmc46swh イーストエンド国際ギター・フェスティバルでは、ギター展示会も外せません。
試奏しながら制作家の方とコミュニケーションできる貴重な場で、2年半前に生涯最後まで弾くためのギターをオーダーしたのもこの貴重な場があったおかげでした。多くの方とお会いするので大いに悩むことにもなるのですが。また、プロのギタリストが試奏に訪れることがあり、演奏を見る幸運に恵まれることもあります。今回は藤元高輝さんの試奏に遭遇し、素晴らしいテクニックと音楽性を間近に見ることができました。近々ある藤元さんなどが演奏する佐藤弘和作品のコンサートにはぜひ行かねばと思いました。

今回もいくつか試奏させていただきましたが、私がギターを始めた1980年前後と比べて日本製ギターは格段にレベルが向上していて、海外のものと比べても遜色ないどころか、為替や関税を考えるとコストパフォーマンスはかなり良いと思います。
個人的に今回の目玉と思っていたのが、関場大一郎さんがクラウドファンディングのプロジェクトを通じて完成させたギターです。関場さんに了承いただいて試奏を録画しました。

自分で弾いてみるとコンサートでステファニーさん河野さんの演奏で聴いた音と印象が違って、特に高音弦をふくよかに鳴らすのが難しく自分の手には負えない思いましたが、録音では割と綺麗に聞こえます。マゼを試奏した時にも同じようなことを感じ、聴いていた方にも言われたことがありましたので、ブーシェのような楽器で自分が満足できる音を出すには相当な技量が必要なのと、人に聴かせることを主とするプロクラス奏者向けの楽器なのだろうと思いました。
関場さんには、ブーシェの音に関する研究についてお話を聞くことができました。自分が疑問に思っていたことが解消されて、今後の研究発表のが楽しみになりましたし、きっと製作家の皆さんに役立つ成果になると思いました。


Dk__bkvpmk 展示会の楽器をプロギタリストが試奏するコンサートがフェスティバル中の昼の時間帯に行われていました。私は林祥太郎さんコンサートを聴くことができました。
比較的穏やかな曲が選ばれており、ギターの音を聴かせるための林さんの気配りなのかなと思いました。これに林さん自身が持つ美しい音と穏やかな音楽性が反映され、6人の制作家が作った7台のギターが弾かれましたが、かえって大きな違いを感じさせないほどの音楽そのものを楽しめるコンサートになりました。
この前後に自分の弾いた時のことも合わせて思い出してみると、河野ギター製作所の君島聡さんの杉モデルの美しくもパワフルな音、山根淳志さんの木質な温かみのある音が特に印象に残っています。もう客観的に見れなくなってますが、小林良輔さんの楽器はトラディショナルな美音で林さんに合っていたようでしたし、自分で改めて弾Img_20250511_142243053 いてみて、現代的弾き易さと工芸的美しさという美点を再確認しました。


8wzo8qtbqe 夜は最終日のお楽しみ、期間中の出演者が出演するスペシャル・ガラコンサートを聴きましたので、かいつまんで。

コンクール関連では、15歳以下対象の未来賞を受賞した9歳の少年の堂々とした演奏の前途に幸多かれと思い、45歳以上対象の特別賞を受賞した近藤勲さんのバッハ998のフーガを弾く姿にリスペクトし、中林奏太さんの演奏はさすが優勝者!と思わされました。

多くのプロの皆さんが演奏される目くるめく時間の中で、急遽演奏された台湾の林家瑋(Chiawei Lin)さんは、コブレンツなど正解有数のコンクールで優勝されているのにノーマークだったので大収穫でした。マルコ・ペレイラの2曲を弾き、ロマンチックな曲での美しい歌とハイテクニックな曲でのリズムの切れスケールの指さばきなど素晴らしく、ぜひフルコンサートを聴いてみたいと思いました。
さらに、緊急参戦したエカチャイ・ヤラクールさんは一度聴いたことがありましたが、今回はレニャーニを鮮やかに弾いてGFA優勝者の貫録を見せてくれたあと、最後にマルコ・タマヨさんとブローウェル編のフール・オン・ザ・ヒルとペニー・レインを弾いてくれました。学生の時にとある譜面を入手して弾いた思い出もあり、自分にとって特別な感動がありました。

Img_20250511_204316357 最後は演奏者、スタッフの皆さんがステージに上がって大団円。感動的にフェスティバルが締めくくられました。
このフェスティバルは数日だけ現れるギター愛好家のディズニーランドだと思っています。毎回のことですが、身を削るようにしてフェスティバルを開催してくれている樋浦夫妻には心から感謝申し上げます。
今回は、いろいろな事情で客席にも余裕がある状況ではありましたが、ギター愛好家の立場としては行けば間違いなく楽しめるので、プログラムなど気にせず日程が分かれば予定を空けて待っていれば良いので、すでに決まっている来年5月29~31日の日程は空けておきましょう。

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2025.04.13

試奏コンサート 河野智美

Tomomi ムジカーザで行われた「名器ブーシェを再現しクラシックギターの音色の秘密を解明したい」というクラウドファンディングのコンサートに再度うかがいました。今回の奏者は河野智美さんです。

オープニングはいきなりブーシェで大聖堂という男前パワフルなスタート。さすが河野さん、難しい部類に入るはずの楽器が鮮やかに弾かれました。カヴァティーナ、バッハ997サラバンド、1007のプレリュードとクーラントは関場さんのコピーモデルでしたっけ?透明感ある音が印象に残っています。
前半最後はご自身の杉の今井でカナリオス。デジデリオのある貴紳のカデンツァをつなげるアイデアを借用したそうですが、確かに面白く、楽しませていただきました。しかし、前半の印象は「あれ?ギターの違いがよくわからないぞ」でした。

Img_20250411_191932827後半最初は関場さんの楽器からでしたっけ?でコンポステラ組曲から。ブーシェ的な音がよく合う曲です。最後のムニュイラだけ今井ギターで、華やかな感じになったように思います。
さくら変奏曲は関場さんの楽器で、これが透き通った楽器の音との相性が良く当日の白眉だったと思います。
そしてブーシェでの戦場のメリークリスマス。ダイナミックな佐藤弘和さんの編曲のためかも知れませんが、音が一歩前に出てくる感じがしました。ギターを鳴らす技量を持った奏者にかかると、ブーシェはそれに応えてくれる楽器だという自分の仮説を体験できたように思いました。
プログラム最後はビートルズのフール・オン・ザ・ヒルとイン・マイ・ライフ。セルシェル編の良い響きがギターにマッチしていて演奏を楽しんでしまい、もうどちらで弾かれたか覚えてないという間抜けさです。

アンコールではニュー・シネマ・パラダイスがきれいな音色で弾かれ、関場さんの楽器の美点が引き出されていました。
Afterconcert どちらのギターだったか記憶が曖昧なところがあるのは、私の記憶力と格付けチェックを間違えるレベルの耳のせいだけではなく(本当はそれだ)、しっかりしたタッチを備えた演奏力が、杉の今井ギターすら区別がつきにくい程に河野さんの音として聞かせたからなのだと考えています。
前回繊細な印象と違った奏者の特徴が感じられ、やはり演奏者の要素が大きいのかなと思いながらも、
さくら変奏曲と戦場のメリークリスマスの対比で、後者は一歩こちらに近づいているような印象があったのは、時を重ねて備わったブーシェの力を感じたからなのではないかとも思っています。
人間の感覚ですので、曲想や聴いているときの心持ちの影響も多分にありそうですが、この感覚を科学的な分析は説明してくれるのか、それとも錯覚なのか、プロジェクトの報告を楽しみに待ちたいと思います。

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2025.03.25

試奏コンサート ステファニー・ジョーンズ

Image_20250325_0001 「名器ブーシェを再現し、クラシックギターの音色の秘密を解明したい」というクラウドファンディングのリターンとしてムジカーザで行われたステファーニ・ジョーンズさんのコンサートを聴きました。イーストエンド国際ギターフェスティバルでの弾き比べを聴いたことはありますが、フルコンサートは事情により聴けなかったので、大いに期待して出かけました。

前半は得意のバッハ1006からロンド風ガボットとジーグからスタート。端正な演奏にオリジナルの装飾が美しい。
その後はCharltonなどの現代の作品が続きます。耳なじみの無い作曲家でしたが、いずれも調性感やメロディがはっきりしており、繊細に歌う奏者のスタイルに合っていました。新しい曲を積極的に弾くスタンスにも好感が持てます。
前半最後はキケ・シネシの澄み切った空。リズムのキレが良く正に澄み切った清々しさもある演奏で、盛り上がって前半を終了しました。

後半は、ウクライナ民謡に基づく幻想曲からスタート。主題のメロディが美しく、途中に入るトレモロもきれいなタッチで弾かれ曲を引き立てていました。
そして、この日のメインと思われるピアソラのブエノスアイレスの四季全曲。この重量級の組曲を陰影も感じさせながら鮮やかに弾ききり、力量の大きさも示しました。
本プログラム最後は、ディアンス編のフェリシダージの心躍るような演奏で締めくくられました。

アンコールでは、なんと渡辺香津美さんのトチカ!招聘された方が楽譜を渡したとのことで、楽譜用に使っているタブレットであの黄色いアルバムジャケットを示しながら解説し、アルバム収録のビブラフォンとの共演をオマージュしたようにアレンジされた演奏で、ファンとしては感動に震えながら聴きました(ちょっと大げさ)。病床の香津美さんが聴いたらさぞ喜ぶだろうと思います。なんとか届けていただきたい>主催者御中。終演後の懇親で心なしか鼻の下が長く映っている写真を撮ってもらいながら、トチカをこれからも弾いてくださいって言いたかったんだけど英語で上手く言えなかったのが悔しい。少しは伝わったかなあ。

Img_20250322_162959502 ブーシェが後期に作った楽器と関場さんが作られた再現楽器が交互に弾かれ、その違いにも耳を澄ましてみました。演奏者の高い技量からか、常々演奏者の要素が大きいと思っているとおりなのか、大きな違いを感じたわけではないのですが、あえて書くと関場さんの楽器は新作らしく透き通っていて瑞々しさがあり鳴らしやすそうに感じ、ブーシェは深みがある音だが中音域を綺麗に出すのに工夫が要りそうな印象でした。
結局、楽器は自分で弾かないとわからないとも思っているのですが、このブーシェは鎌田慶昭さんが弾かれていた楽器だそうで、奇遇なことに、かつて一度触らせていただいたことがありました。その時は、私が弾いても良い音が出るけど、もっと奥底が深い楽器で到底弾きこなせないと思ったことを思い出しました。
いずれにしても、今回のコンサートの音源分析も含めこのプロジェクトは進行していくそうですので、チャレンジングな企画を実行している関場さんの敬意を表すとともに参加できたことに感謝しながら、研究結果を楽しみにしています。

<追記>
なんと、アンコールのトチカを京都滞在時にレコーディングしたそうで、YouTubeで公開されました。素晴らしい演奏です。

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2025.01.13

高田英里佳インストアイベント銘器弾き比べコンサート

Kurosawafleyer724x1024  クロサワ楽器ドクターサウンド前回参加したインストアイベントに味を占め、再び標記コンサートにうかがいました。

さほど急いで予約したつもりはなかったのですが、2番目だったようでなんと緊張感が高い1列目正面に座ることとなりました。とはいえ、この席だと前回に比べて音の違いが分かりやすく、指の動きも良く見えていろいろ勉強させていただきました。

演奏された楽器は3台で、ルイジ・ロカットの素直さとバランスの良さ、ホセ・ラミレス・アニバーサリオのスペイン的な甘さと重厚感の共存、マーク・ウシェロヴィッチのパワフルできらびやかな音色をそれぞれ楽しみました。Img_20250112_130815824
高田さんはお若いのにそれぞれの楽器の特性を生かした選曲と演奏を聴かせてくれましたし、1台演奏するたびに楽器の印象を丁寧に説明していて、楽器店のイベントにおける理想的なパフォーマンスだったと思います。
その真面目な取り組み姿勢でスペイン留学を続けることで、さらに成長して帰国されることと思います。

<追記>お店のブログにレポートが掲載されました。

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2024.11.06

岡野雅一 銘器弾き比べインストアライブ

465289506_1083725383756231_1304019714973 クロサワ楽器ドクターサウンドで開催された岡野雅一さんのライブを聴きました。

岡野さんはかつてはアマチュアの集まりでよくお会いして一緒に弾いていただいたこともある方で、もともとプロレベルの方でした。最近はCDをリリースしたりクルーズ船で演奏のお仕事をしたりと名実ともにすっかりプロフェッショナルなご活躍をされる雲上の人となってしまいましたが、お店の銘器を弾き比べるライブとのことで久しぶりに演奏を聴かせていただこうと思い、うかがいました。

当日はセゴビアが演奏していた当時の楽器を弦長まで再現したラミレス・セゴビアモデル動画)、フランスのジャン・マリー・フィヨール動画)、ロマニリョスに師事したドイツ人のゲルハルト・オルティゲス動画
など(もう一つは忘れた)が弾かれ、楽器に合わせた選曲を一つ一つ解説しながら丁寧に演奏されました。   自分としては佐藤弘和さんの作品が2曲取り上げられたのが嬉しく、ベイビーズ・ソングズのHomaの思い出を懐かしく聞きました。
<追記>
忘れていたもう1本はクロサワ楽器公式ブログからジョン・レイ動画)だったことがわかりました。465576614_9337677116245577_7102496574453

終演後は久しぶりに会うかつてのアマチュアのオフ会で一緒に弾いていた皆さんを交えた楽器談議に花が咲きました。さすがに最後まで残っていた方だけあって恐ろしく楽器に詳しくて、いろいろ勉強させていただきました。

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2024.10.21

小林良輔さんの工房への訪問

Img_20241019_095355790ギター制作家の小林良輔さんの工房にうかがいました。

2年前制作をお願いしていた楽器が完成したとの連絡を受け、せっかくの機会なので一度うかがってみたいと思い受け取りに行くことにしました。

相模湖は(渋滞しなければ)東京からも近いのですが自然あふれる地域で、きっとギター制作には最適な場所なんだろうと思いながら到着すると同時に完成したギターを受け取りに来られたもう1名の方がすでに試奏されていて、美しい音とともに迎えられました。

工房は建設関係の作業場の一部を借りているとのことで、さほど広くないですが工具が壁面に整理されて吊るされており、ある種の機能美から小林さんの実直な制作姿勢を感じます。

早速試奏してみると、昨年の名古屋ギターフェスティバルイーストエンドでの展示を通じて何度か試奏している間に木の温かみのある音のイメージもできて期待は十分に高まっていましたが、その予想を超えて良く鳴り、クリアさが加わった美しい音でした。

いい機会ですので自分の楽器も持参して見ていただきました。
1台はレイズド・フィンガーボードの楽器で、ラティス・ブレイシングなのは知っていましたが上面にカーボンのシートが補強のために張ってあること、メンテナンスのためにネックが接着で無くボルトで留められていることなど初めて知ることがありました。
もう1台は国内制作家のセミレイズドな楽器で、横板が2枚の板を合わせて強化してあるのは知っていましたが、下の方に表面版に接していない補強材が入っていることなどを知ることができ、工作の丁寧さも含め良い楽器であることを教えていただきました。
そして、今回の楽器もレイズド・フィンガーボードで表面版の厚さは全部同じ2.2mmとのこと。まったく違うコンセプトで制作された楽器達の唯一の共通点でした。

当日は新しい出会いにも恵まれました。
受け取りに来た方もう一人が高校と大学のギタークラブの20数年下の後輩で、彼も指揮者であったことが分かり、あまりの偶然と小林ギターの取り持つ縁に驚きながら、やっていた曲やクラブ運営の話などで大変盛り上がりました。
午後はコンサートのために来日中のJoao CamareroさんとツアーをアテンドしているTatsuro Murakamiさんがお蕎麦屋さんから合流。一緒に美味しい蕎麦を食べながら、音楽や食べ物の話をして楽しく過ごしました。

工房に戻って、JoaoさんとMurakamiさんにもギターを試奏していただきました。Joaoさんはコンサートを控えて爪を整える前ながら素晴らしいテクニックでした。妻の好きな曲を弾いていただき良いお土産になりました。

さらにMurakamiさんとのセッションでは、これまた妻の好きなショーロでリアルなサウージ・サウダージな午後のひと時となりました。

これも何かの縁なのか先日のコンクールでいただいたケースがちょうどこの楽器用になり、それに収めて持ち帰りました。
楽器は出会い(出会いがしらともいう)で買うものと言われますが、今回は製作者と出会いから対話しながら完成までのコミュニケーション、そして出会いが広がる受け取りイベントという貴重な体験ができました。この1日のイベントをアレンジしていただいた小林さんには大変感謝しています。
今回、私は人生最後まで使う楽器を作っていただきたいというお願いをしていました。一方で小林さんは「楽器は完成したが、音楽は演奏者のもとで完成する」ということをおっしゃっていました。私は音楽を完成させる責任も負ったと理解しましたので、これから大切に弾きこんでいきたいと思います。


<追記>
小林さんの工房に訪問したことを書いたら、なんと私の知り合い2名が小林ギターユーザーであることが判明しました。ラグタイムギターの名手の所有楽器(多分こちら)とジャズ・ボサノバの名手の所有楽器(多分こちら)が小林さんが制作したギターだそうです。さっそく兄弟の契りを交わすこととなりました。ギター界は狭いですが、小林さんのギターが縁を深めてくれています。小林良輔ギター友の会を発足させたくなりました。

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