無人島に持っていく10のギター曲

以前マイケル・マンリングのライブCDを特典としていただいたときに、この曲は無人島に行くときに持っていく曲のひとつだなあと思ったのをきっかけに、もって行く10曲を選んでみることを思いつきました。

1.Michael HedgesのAirial Boundaries この曲はアコースティックギター曲の金字塔ですね。初来日で聴いてからずーと好きでした。フォロワーは多いし、このジャンルは全体も好きなのですが、いまだにこの曲を超える曲に出会ったことがありません。ナイロン弦で弾いてみたこともありますが、やはり本人の演奏がいいですね。

2.Manuel BarruecoによるBach リュート組曲2番 バッハは1曲入れたい。全集なら先日来日したガジェンのCDがいいですが、やはり「バルエコショック」と言われた初来日を知る身としてはバルエコで1曲入れたい。その時の最初に演奏されたこの曲は、数多あるこの曲の録音の中で、音色、装飾、歌い回しのすべてがいまだにベストだと思います。以前自分でも弾きましたが、今は無理だなあ。本人の演奏動画も見当たりませんが、Spotifyで聴けるようですね。CDはこれ

3.山下和仁によるMussorgskyの展覧会の絵 山下とその金字塔ははずせない。曲自体が好きですが、このギター版がピアノや管弦楽による演奏と比べても、1台で色彩感を表現しきっているという点でギター万歳という感じです。キエフの大門までくると感慨深い気持ちになります。

4.DyensによるDjango ReinhardtのNuages この曲自体が好きなだけでなく、この編曲はコード付け・構成・アドリブ的な展開すべてが秀逸で、最高のジャズ独奏曲になっていると思います。Dyensは昨年惜しくも亡くなりましたが、この曲は折に触れ弾いていきたいと思います。

5.Yamandu CostaのEl Negro del Blanco こちらも最近見た興奮からかもしれませんが、優しき怪物Ymanduの演奏も1曲入れたい。モンターニャのコロンビア組曲も好きなのですが、先日のコンサートで最後に弾かれた、南米の海と風の香りがするオリジナル曲にしました。唯一、曲より人優先で選んだので、もっといろいろ聴きこむと曲が差し替わることもありそうです。アルバムMafuaに収録されています。

6.押尾コータローによる坂本龍一のMerry Christmas Mr.Lawrence 戦メリは昔から好きで、自分でも編曲して弾きましたが、効果的な特殊奏法による映画サウンドトラックの再現度合いが素晴らしいの編曲だと思います。記念すべきメジャーデビューアルバム「STARTING POINT」に収録されています。私は無謀にもナイロンでこの編曲も弾いたことがあります。

7.アサド兄弟によるEgberto GismontiのBaião Malandro アサド兄弟も1曲入れたくなります。特にアルバム「ブラジルの魂」が好きで収録曲はどれも素晴らしいのですが、音が細かいのにうねるようなリズムで海が目に浮かぶようなこの曲が好きです。この記事を書いてから数年の時を経て独奏編曲の楽譜を見つけたので、がんばって自分でも弾いてみました。

8.山下和仁によるTedescoの悪魔のカプリッチョ ここまで来て、ギター独奏オリジナル曲がないことに気づきました。つくづく天邪鬼な自分を感じます。そこで、1曲をえいやっと選んだこれ。パガニーニ賛歌の哀愁あふれるメロディと構成感、後半に2つの主題が交錯するところが鳥肌だと思います。いろいろな演奏がありますが、やはり血気迫る山下でしょうか。ただし、セゴビア版ではなくオリジナルに近いと思われるジラルディーノ版があるので、これをベースにした演奏(自分なりにやってみました)がもっと出てくるといいなと思います。

9.佐藤弘和さんの秋のソナチネ ギターオリジナルでは、やはり佐藤さんの曲が必要です。堂々たる3楽章ながら、ロマンチックで各楽章の構築感もあるこの曲は、佐藤ワールドの集大成なのではないでしょうか。動画は、この記事を書いてしばらくしてから自分で弾いたものを貼っておきます。
SpotifyにはDaniel Quinnさんの演奏がありました。

10.Michael ManringのThe Enormous Room こちらも昨年ライブに行きました。正確には特殊なベースによる楽曲ですが、この曲ではその機能を存分に生かしながら、ゆったりとしたメロディがかもし出す浮遊感が素晴らしいと思います。アルバムThonkに収録されています。

だいぶ偏った選曲になりました。気に入った曲はできる限り弾こうとするという芸風も出ていますね。まあ、私の嗜好はこんなもんですということで。

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2026.06.02

イーストエンド国際ギターフェスティバルでの各種イベント

リサイタルについては(ここここで)書きましたので、そのほかのイベントをまとめて書いておきます。

704406791_35698825226428818_354785601934 東京ギター展示会
毎年多くの製作家が新作ギターを携えて集まり、自由に試奏できるという楽しくも危険なイベント。今年も素晴らしいギターがそろいました。
弾いた中で印象に残っている楽器を列記します。(敬称略)

小林良輔
今回は杉トップ。新しい構造と合わせて立ち上がりが良い。でも小林ギターの木質を感じる音色や分離の良さは他のギターとも共通している。ナチュラルな塗装が美しく杉もいいかもなんて思いました。(危険だ)

・君島聡(河野ギター製作所
2022年からずっと試奏していますが、いつものことながら音量、バランス、弾きやすさとも申し分ない。日本材のギターが美しくもいい響き。(これも危険)

佐久間悟
ヨーロッパの伝統的ギター音を再現していてハウザーよりもハウザーらしいハウザーモデルと感じた。音量も申し分なく現代的弾きやすさもある。プロのユーザーが多いのも納得。ガラコンサートでディオン・チョさんがいい音出してました

関場大一郎
クラファンに参加してステファニーちゃん河野さんの試奏コンサートを見てから、どう成長しているか気になっている楽器。昨年試奏したときはブーシェらしい難しさを感じたが、以降プロの方が弾きこんだそうで音が出しやすくなったと感じた。透き通った音色は変わらないものの丸みが出てきたようにも思った。


試奏コンサート
展示楽器がホールで試奏されるコンサートを2コマ聴きました。

・尾崎琴音 × 閑喜弦介
Img_20260530_104631 尾崎さんはソルの同じ曲ですべてのギターを弾くという、誰もやってないけど試奏に相応しいスタイルでスタートして好印象でした。音が美しく演奏も手堅い方で今後の成長が楽しみです。
Img_20260530_113516 閑喜さんのコンサートはいろいろ行っているので一度は聴いたオリジナルや編曲ながら響きの良いホールで聴くのは格別で、楽器の違いを感じされてくれていましたが、音楽そのものを楽しむことに気持ちが行ってしまいました。ラミレスも良かったですよ。

・宮下祥子 × アントワーヌ·ボワイエ
Img_20260530_125201 楽器に合わせて曲を選んだり表現を考えるという心配りが感じられる演奏で、宮下さんは日本の巨匠だなあと思います。ビラロボスの協奏曲のカデンツァは圧巻でした。
ボワイエさんの演奏はこちらのとおり、異次元のものでぶっ飛びました。


ガラコンサート
705194280_35698851263092881_108332610026 今年も素晴らしいメンバーが揃って豪華なコンサートになりましたので、かいつまんで。
コンクールで45歳以上の特別賞を取られた三浦さんがはボッケリーニのソナタの第4楽章を立派に弾かれたのは素晴らしかった。
コンクール優勝者も含めアジアの若いギタリストのレベルも上がっていることを感じ、高齢化しがちなギター界を盛り上げていく交流の場になっていることを喜ばしく思いました。岡本拓也さん、斎藤優貴さん、ディオン・チョさん、ノッパコーン・ウアシリヌクロさんがの最後に弾いた四重奏の演奏にそれが現れていたことが素晴らしい。
その他、閑喜さんのいつもながらかっこいいジャズナンバーにしびれ、小暮浩史さんのフオッコで盛り上がり、宮下さんのカデンツァで巨匠再び、ボワイエさんのヤマンドゥナンバーで再度盛り上がり、イリーナさんの4曲も弾くサービス精神と、盛りだくさんの内容でおなかいっぱいになりました。
All 最後は演奏者、製作家、スタッフがステージに集まり大団円で3日間の祭典が締めくくられました。

終わって2日経ちますが、いまだに家ではイベントの話ばかりしていて、フェスティバルロスになっています。
毎回繰り返しになりますが、こんなに楽しいイベントを毎年開催してくれる樋浦さん夫妻には感謝することしきりです。今年もありがとうございました。

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2026.06.01

イリーナ・クリコヴァギターリサイタル

713764970_10225051762281065_151080691091 イーストエンド国際ギターフェスティバルで行われたイリーナ・クリコヴァのリサイタルを聴きました。
正に正統派の巨匠というべきギタリストでした。

ロシア仕込みらしく単純な半音階でも美しく歌い、丁寧なフレージングで音楽的完成度を高めており、ソルのモーツァルトの主題による変奏曲、カルドーソのミロンガ、タレガのアラビア風奇想曲、アルハンブラの想い出などは聴きなれた名曲でも魅了されます。

クリコヴァに献呈された曲では、イギリスの作曲家によるというポートレイト・オブ・ア・ローズが、きれいなメロディから始まってビルトゥオジティを発揮するようなパートもありなかなか面白く聴きました。

アグアドのロンド、バリオスの大聖堂の難曲では、緩楽章はメロディが天に届くかのように限りなく透明に響き、急楽章は相当速い演奏でしたがあくまで滑らかで十分な抑揚とともに演奏されました。

バラエティー豊かなプログラムを締めくくるのはショパンのワルツ第7番で、これがまたロシアのロマンティシズム感じさせる演奏で、当日の白眉であったと思いました。

アンコールの曲目は最後にバッハのチェロ1プレリュード、サティのグノシェンヌ1(これもたっぷりした演奏で良かった)があったこと以外すっかり失念しましたが(誰か教えてくれたら追記します)、途切れない拍手に応えて何度も出入りして演奏するステージングにも一流を感じました。

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イーストエンド国際ギターフェスティバルでAntoine Boyer三昧

今年もやってきたギター愛好家のための期間限定ディズニーランド、イーストエンド国際ギターフェスティバルが行われました。8年ぐらい前に注目してから来日を待ち焦がれていたAntoine Boyerがこのイベントに招聘されたので、できる限り追いかけました。

Img_20260529_160217 初日は小林良輔さんのギターを持参した友人のマスタークラスを聴講しました。
ジャズのライブもやる方なのでセッション的やり取りはあるだろうと思っていましたが、最後に大好きなジャンゴのヌアージュで、大好きな小林ギター同士の本格的なセッションを丸々1曲聴かせていただき、想像していた以上に楽しませていただきました。ついでに、以前購入して自分でも弾いたことがあるAn Ancient Tale楽譜も持参してサインしてもらいました。
マカフェリを持参した方のレッスンも聴講し、コードトーンを軸としたフレーズの作り方など興味深く聴講しました。

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2日目はギター展示会で展示されている楽器の試奏コンサート。

ここでは、驚くことに5本の試奏が全てインプロビゼーションで行われました。しかも、バラード、クラシックの体位法的で舞曲的なスタイル、南米風なリズミカルなスタイル、ビートを強調したポップなスタイルなど、ギターごとにスタイルを変えてソロ楽曲としてもほぼ完成された構成になっています。しかも、弾き比べにならないほどすべてのギターを完全に鳴らしきります。とんでもないものを見てしまったと思いましたが、これは始まりに過ぎませんでした。

713644459_10225051762161062_366512807888 3日目はメインのリサイタル。マカフェリタイプのアコースティックギターと小林良輔さんの7弦クラシックギターでの演奏でした。YouTubeはさんざん見てCDも聴いていましたが、それらはボワイエの水割りでしかなかった。。興奮のあまり順番がわからなくなっていますが、以下のような曲が弾かれました。
I loves you PorgyMy foolish heartLike Someone in Love
といたジャズスタンダードは7弦で演奏されました。どれもテーマが美しく奏でられた後に、センスの良いメロディとハーモニーのアイデアでインプロが続き心を奪われます。Stevie WonderのOverjoyedは複雑なアルペジオを伴うメロディを浮かび上がらせるテクニックが素晴らしい。
7弦の使い方として、メロディを低い音で弾き、さらに低くバスが足すことでバリトンギターのような響きでのパートを作って、楽曲構成に広がりを持たせているのは面白いと思いました。
自作曲ではSylvain Lucを偲ぶ曲は抒情的で胸に迫るものがあり、体位法を使った古楽風のAn Ancient Taleではクラシック音楽に対するセンスも見せてくれます。
Img_20260531_151910 マカフェリではエキサイティングなオリジナルや
ジプシージャズのスタンダードらしき曲に加えてビートルズのAnd I Love Her。さらにアルバムやYouTubeにはないYamandu CostaSamba Pro Raphaがピックのみで弾かれたのはビッグ・サプライズで、ヤマンドゥファンでもある自分は大興奮しました。
アンコールはまずNuages。かっこよくフェイクしながらのテーマからインプロまで、一番好きなジャズナンバーだけに感激もひとしお。最後は枯葉がアップテンポで弾かれ華やかに締めくくられました。
弾き比べ時の音から開始前はPA不要ではと思いましたが、適度な空間系エフェクトによるギターの音を生かした音響で心地よく聴くことができました。PAとも相性の良い小林ギターもさすがだと思いました。
<大事なことを書き忘れたので追記>
このギターはボワイエさんの細かいオーダーに合わせて小林さんが特急で制作し1週間前に完成、直前の水曜日に調整したばかりの楽器だったとのことで、コンサートの成功には小林さんのご尽力もあったことを追記しておきます。

Img_20260531_171951 終演後のサイン会で、最初の予約販売時にサイン入りを入手していたCDを持参したら、宛名として私の名前を書き足してくれました。当日の記念も欲しくなって、Tシャツを買ってそれにもサインしてもらいました。

Boyerさんはすでにマエストロの域に達している世界最高峰のギタリストであることを認識した3日間でした。Yamandu Costa以来の衝撃だったと思います。また、どこで会っても気さくに接してくれるナイスガイで、最近ボワイエさんが共演したMatteo Mancousoの(なんとリサイタルに来てた)のライブに行った話をしたら「彼は友達だ自分もそれ行ってたよ」なんては話してくれましたし。
終わったそばから再来日を楽しみに待つ日々が始まってしまいました。

<追記>ここに至るまでのボワイエさんとのギター製作のやりとりを小林さんがポストしていました。感動的だったのでここに貼っておきます。

ボワイエさんも今回の来日に満足されたようです。

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