2017.03.19

佐藤弘和『音楽のエッセイ』、CD『鳥が飛ぶ』同時発売記念コンサート

昨年、惜しくも亡くなった佐藤弘和さんの遺作とも言うべき曲集「音楽のエッセイ~ギターソロのための24の小品集~」とそれを収めたCD「鳥が飛ぶ ー佐藤弘和作品集ー」の原善伸さんによる発売記念の全曲演奏コンサートにうかがいました。

心に染みるコンサートでした。
最初は、独奏の24の小品から。少しだけですが参加させてもらい作曲時の経緯を知っていると、その日々の佐藤さんの気持ちを反映した純粋な美しさがあるのが感じられます。また、原さんのすっきりとした音とともに、思い出のアルバムをめくるような気持ちになり、特に最後のコラールは胸に迫るものがありました。CDを聴きながら書き忘れてたことを思い出して追記します。この曲集の中でも、特に退院されてからの7曲に、何か強い思いがあると思います。この曲集はとても大切なものであることを感じました。
後半は重奏で、まずは鈴木大介さんとの2重奏。これらは24のソロと同曲ながら和声が充実していて別の曲のように聞こえます。そして3重奏の夏野原。大萩康司さんが加わってこれ以上は考えられない豪華な組み合わせで、爽やかなこの曲を楽しませていただきました。
アンコールでは、原さんのソロに続いて、3重奏で光の街というサプライズ!鈴木さんのウイットに富んだMCもあり、この豪華なメンバーで定番曲を聴けたのは貴重でした。

終演後は、購入したCDにサインしていただき、3人の名前が入ったプレミアム物のおみやげを持って家路につきました。
<追記>
CDを聴いていますが、これは素晴らしい。録音が良く音が美しい。表現を細かいところまで磨み佐藤さんの意図がよく反映されていて、聴いていて心地よいだけでなく演奏するときの参考としてもありがたいです。

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2017.02.12

ヤマンドゥ・コスタ ギターリサイタル

贅沢なことに前回に引き続き今回はホールでヤマンドゥ・コスタを家族とともに聴くという幸せな機会を得ました。

ヤマンドゥの場合、ホールでのパフオーマンスはライブハウスの濃密さとは違って、開放的な気分になるようです。ちょうど前回のレポートで「山下和仁並のダイナミックス」と書きましたが、ここでは体の動きが山下的で、構えが柔軟に変わる上にギターも縦横無尽に動き、途中で立ち上がらんばかりかと思うと、曲のフィニッシュとともに本当に立ち上がるというエキサイティングな演奏。音楽も前回同様、怒涛のリズム、スピードと音圧、そして歌心。家族全員で興奮していました。
今回は、アンコールで友人と思われる女性ボーカル(この人の名前教えてください>誰か)が飛び入り参加し、そのキュートな風貌と暖かい歌声に感動しました。YouTubeやCDでも聴くことができますが、ヤマンドゥのセッション力の高さを体験することができ、次回はデュオやバンドでの来日も期待したいです。

終演後は、持参した(買わずにすみません)CDにサインをもらうべく長い列に並びました。ヤマンドゥは設営された席から立ち上がって全員と会話しながらサインや撮影に応じていて、だんだん列に沿ってこちらに近づいてきていました。順番が来ると、娘に優しく接してくれて、すでに音楽に魅了されていた娘はこの優しいスーパーギタリストが大好きになってしまいました。前日のガジェンもそうでしたが、一流の音楽家ほど人柄も素晴らしいものなのだなあと感じました。
ソティエなきあと、毎年このような素晴らしいギタリストを招致して、ギターファンに素晴らしい音楽体験を提供してくれるイーストエンド国際ギターフェスティバルを主宰している樋浦さんに感謝します。

<追記>
この日本ツアーの武蔵野スイングホールでの公演映像がYouTubeにアップされていました。少しでも雰囲気が伝わればと思うので張っておきます。

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2017.02.11

リカルド・ガジェン ギターリサイタル

以前、バッハのCDを聴いてから、来日を待ちわびていたリカルド・ガジェンのコンサートについに行くことができました。何年かに一度「XXショック」というようなものがあるとすれば、「ガジェン ショック」とでも言うべき日でした。

前半はバッハとソル。バッハ998は歌うことでフレーズを丁寧に聴かせてくれます。フーガのリピート時のバリエーションは装飾と言うよりドゥーブルのよう。そしてアタッカで入ったアレグロは快速な上に華やかな装飾による様式感も抜群で、CDよりもエキサイティングなこの上ない完成度。久しぶりに震えがきました。
ソルのソナタの上品な1 9世紀音楽といった演奏で、プログラムの中ではよい箸休めといった感じで前半終了。

後半はさらにパワーアップ。まずバリオスのワルツ3、4を続けて演奏。度肝を抜く速いスケールに圧倒されますが、ゆったりと歌うフレーズとの対比が素晴らしい。大聖堂もアゴーギクを効かせてしっとり歌う1、 2楽章から間髪入れず湧き上がってくる3楽章が瑞々しい。ロマン派の曲はかく弾くべしというメッセージを感じました。
そしてブローウェル。組曲2番は15歳の時の作品ながら完成度・難易度が高く、ロマンチックな旋律と南米らしいリズムの対比を楽しく聴かせてくれました。そして、日本初演のソナタ4番。さらにブローウェルらしい細かいパッセージと和音、リズムの組み合わせに高い技巧が求められるようで、組曲2番からより複雑に発展している現在の作風のコントラストの提示にプログラムの面白さを感じます。以前YouTubeで見かけたものの、ほぼ初めて聴く曲で、それなのに聴きやすく感じられ、4楽章があっという間でした。

全般に、その非常に高いテクニックを大胆なアゴーギク、デュナーミクの実現に用いることによって、音楽がわかりやすく提示されていると感じました。また、いずれのプログラムも曲の間、チューニングの音量も含めて神経を使っており、楽章のつながりを大切にすることで緊張感が保たれて、演奏の印象もより良いものになっていることに気づきました。実際にやるとなると難易度が高いことだと思います。18世紀からほぼ1世紀ずつ進み、21世紀に至る構成も見事でした。

アンコールはアルハンブラの思い出1曲でしたが、これだけの、しかも繊細に構成された重力級のプログラムの後では、ちょうどよいデザートといった趣きで、これはこれで好ましく感じました。
終演後は持参したCDにサインしてもらい、一番お気に入りのバッハアルバムであることを伝えることができました。

<追記>
ガジェン本人が、最終日のヤマンドゥとのセッションをアップしてました。本プロの大聖堂が入っているので貼っておきます。

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2017.02.06

Yamandu Costa×笹久保伸

とんでもないものを見てしまいました。

事前にYouTubeでもさんざん見ていて、CDも持っていて事前学習十分で臨んだヤマンドゥ・コスタでしたが、実物を、しかも間近で見ると予想を超えた怒涛の音楽に圧倒されてしました。
まず、強烈に強いタッチと極限まで速い指回りが生み出す圧倒的な音圧。それが歌心ある優しいタッチとの落差で山下和仁並のダイナミックスを生み出していました。リズムも凄く、細かいパッセージを弾きながら、いつも大きなうねりを感じ続けていて、それが観客にも心地よく伝わってきます。時々入るスキャット、口笛、ボーカルも心地よい。特に口笛が予習でみたものよりレベルアップしていたように思いました。
演奏曲は、予習済みの曲でも即興感あふれていて楽しく、最近作ったという曲も心に響きます。息子のために作ったという曲はよかったなあ。

そして、今回のオープニングアクトを飾った笹久保伸さんの演奏が聴けたのも大きな収穫でした。
ビートルズの前に演奏したドリフターズに勝るとも劣らないプレッシャーだったと思いますが、自分の音楽をしっかり表現することにとどまらず、南米のさまざまなリズムを独特の右手のテクニックを用いて聴かせてくれました。パーカッシブな奏法としては、北米の筋肉系ギタリストのそれより繊細かつバリエーションが豊かで、ヤマンドゥにない美点を見せていました。さらにアンコールでヤマンドゥとのデュオでもそのリズムを発揮し、力量に感服しました。

晴れたら空に豆まいては初めてでしたが、畳敷きの室内によって、広さのわりにそこそこのキャパを実現していて、空間の密度感が好ましく、また行ってみたいと思うライブハウスでした。

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2016.12.17

佐藤弘和ギター作品展 vol.6

佐藤弘和ギター作品展はvol.2vol.3vol.4vol.5と2回目以降ずっと拝聴してきました。今回は、療養中の佐藤さんにお目にかかるチャンスなので、まずは参加と思い参上しましたが、今年一番の素晴らしいコンサートでした。

独奏からから合奏までいろいろな編成を聴きましたが、共通するのはメロディが美しく、和声がしゃれていながら適度に意外性があることなのかなと思います。当日の会場では、その特徴が多くの人の心に響いていることが感じられました。
そして、編成が大きくなってもギターの特性が生きているので、素晴らしい演奏者の手にかかることで、メロディや和声の特徴はそのままで、リズムやデュナーミクなど音楽のダイナミズムが大きくなっていく感覚を楽しむことができました。その中でも原さんの演奏に風格とやさしい人柄がを感じられ、コンサートの始まりに厳粛な雰囲気を作っていました。また、アルポリールギタートリオの鳥の歌は、リズム、ダイナミクスともに以前よりパワーアップした名演でした。クアトロパロスも初めて聴きましたが、噂どおりの実力派アンサンブルでした。

最後の佐藤さんのお話は、ライブ演奏を聴くことで音楽を共有する喜びを感じ、ギター界で活動する人、メディアを応援することで活性化させて欲しいという願いがあふれていました。少なくともこのコンサートは、いろいろな層のギターファンを呼ぶことに成功していたし、そこで演奏されたレベルの高い音楽に多くの人が共感していたという点で、すでに高い次元で理想的な状態が創造されていたように思います。
私も自分の楽しみだけでなく、こういう場での出会いを大切にして、少しは役に立つことを意識しなくてはいけませんね。

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2016.12.05

第59回東京国際ギターコンクール観戦記

上記速報のとおり、今年も東京国際ギターコンクールを観戦しました。少し落ち着いて来ましたので、以下演奏順で感想など。

Tomasi Davide Giovanniさんは昨年に続きトップバッター(くじ運悪いのか)にも関わらず、前回5位からの逆襲で見事優勝。
テクニックは十分。音も大きくフレージングも繊細に表現していて美しい。武満でのハーモニクスの発音の美しさは特筆レベル。レゴンディは難しいんだろうけど曲はつまらなかった。課題曲は美しくまとめていた。ダウランドから始まりダウランドで終わるという考えられた組み立ては面白いけど、ルネサンス・バロックがこれだけ?との感は残りましたが、十分に優勝に値する演奏内容だと思いました。

Mengyi Liさんはピーボディでバルエコに習っているとのこと。それを彷彿とさせるメカニカルな指の動きは抜群。そのパワーで音楽にしてしまえるアサドは、これまで聴いたことのないレベルで音楽の輪郭が感じられたが、バッハは一本調子でもっと緩急やメロディーを奏でる表現が欲しい印象。課題曲は弾きなおしが痛い。ジュリアーニはパワーが音楽になる部分もあるので、メロディを歌えれば最高の演奏になるかも。

松本富有樹さんは、ルネッサンスから開始してバッハに入るあたりまで、歌い回しが美しくテクニックもしっかりして「おっ日本人にこんな人居たんだ」と思いました。テデスコはリズム表現とも良かったが、それ以外はミス多く残念な印象。プログラム中の目玉だったと思われるレゴンディも正直あまり曲が面白くなかった。ただ、リサイタルを聴いてみたいと思ったのはこの人が一番。次は期待できると思いました。

山田唯雄さんは、まずルネッサンスで堂々とした表現。おおっと思ったが、次のメルツは昨年の内容に比べると細かいミスが少し目立ったような気がした。マネンが良くできていただけに惜しい。でも、テクニックは他の参加者に引けを取らない印象。武満を日本人らしく深く読み込んだことを感じさせ、その上での切れの良い表現で一番良かったと思います。2楽章の「あそこ」をチョーキングでやったのはこの人だけ。

Jeremy Peretさんは、爆音系楽器(ジム・レッドゲイト)でとにかく音圧でかいけど、最初の方の曲はあまり印象に残っていません。ピアソラは好きな曲で、色気たっぷりの歌いまわしが良かったけど、間違えたところの前のフレーズから弾き直したのが、手癖で覚えている感じがして印象が悪かった。コンクールとしてはピアソラかヒナステラのどちらかにして全楽章やった方が良かったのでは。

最後はJi Hyung Parkさん。ファリャは無難な滑り出し。スカルラッティでテクニックを示し、テデスコは弱音を美しく鳴らして、フォルテとの対比が良かった。後半細かいミスが増えたけど、止まらずに流れを維持していました。
2人目以降、ちょっと残念な場面とか曲のつまらなさとかで飽きてきたところで、このまま終わるのかなと思っていたら、繊細に強弱をつけて歌い回し、ひたむきに表現するなかなかのテクニシャンが出てきて、「おおっ、この人来るかも」と思いました。そういう流れで印象が良くなった点はありますが、2位より良かったと思うし、見方によっては1位でもと思ったりもします。

どうも私の場合、2位に不満があるのが毎年の傾向のようですが、総じて納得感ある結果だったとは思います。いつもは退屈な(^_^;)課題曲も、聴く機会が多く、昔弾いたこともある武満だったので、より楽しく聴き比べることができました。

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2016.11.14

Toshi Onizuka Japan Tour 2016 神保町楽屋

神保町の楽屋で行われたToshi Onizukaのライブにまた行ってしまいました。

今回はセットをちょっと入れ替えて、私にとってはとても懐かしい、過去にライブを聴いたことのある方にも印象に残っているであろう名曲「南風」が演奏されました。そのほかの楽曲も相変わらずのテクニックで魅了してくれました。また、会場が広い分ペダルパーカッションのシェイカーとカウベルにもマイクが入り、良いバランスで聴くことができました。

これからツアーは西へ向かい、18日19日に松江、22日に北九州でライブがあります。聞きやすい音楽ですので、お近くの方は、この機会にぜひ体験してください。

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2016.11.11

浜田 隆史ライブ in 国分寺クラスタ

浜田さんが「古い新兵器」のマーチンD-18を初披露するツアーを聴くべく再度クラスタに伺い、鬼塚さんのライブとともに今週はクラスタ・ゴールデン・ウィーク(named by三宅さん)となりました。

浜田さんの演奏をよく見ると、それを支えるテクニックは超絶で恐ろしく安定していることがわかります。ただし、今回のD-18のこれまでのギターより弾きやすいようで、力で鳴らすというよりギターが鳴ってくれる傾向があることが聴いていても感じられ、和音がより美しく響いていたように思いました。
プログラムは、レコーディングした大量のレパートリーからの曲に新作を加えたものですが、これが毎回入れ替わっていて、この点でもクラシックギターの感覚からは驚異的です。また、ラグタイムの音楽史・楽曲を深く研究されていて、その知識と人柄が反映したMCもいつも楽しく聞いています。

などと理屈はさておいても、ステージで演奏されるボーカルナンバーはいつものように楽しく、インストはストイックさが感じられつつも聴きやすく、大入りのお客さんとともに盛り上がったライブとなりました。

土曜日は栃木、日曜日には埼玉でのライブもあるようですし、これから関西方面でも聴けるようなので、より多くの人の耳に届くといいなと思います。

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2016.11.09

Toshi Onizuka Japan Tour 2016 国分寺クラスタ

Photo先日お知らせした友人のToshi Onizukaのツアーが始まりましたので、早速、初日の国分寺クラスタに行ってまいりました。

今回のツアーでは新兵器か登場しました!
なんと足で刻むパーカッションで、シェイカーとカウベルです。これ、あれだけの速弾きをやりながら刻み続けるのは相当難しいと思うんですが、ギター一色になってしまうソロライブにちょうど良い色彩を与えていました。
2016そして、演奏はいつにも増してエキサイティング。もともとピックで弾いているとは思えない色気のある音色を持っている人ですが、今回のライブでは良い意味でアメリカナイズされて、速い中にもブルージーなフレーズやトーンが聞こえていたように思います。
スペイン仕込の陰影の深いフレーズや和声も健在で、オリジナルだけでなく、ビートルズナンバーなどポップな曲も彼の味付けで正に“ラテン・フュージョン”な楽曲として生まれ変わっていました。
ギターインストの聖地クラスタでの開催ということで、その世界では有名な常連さんもいらしていましたが、気に入っていただけたようで嬉しいです。終焉後にはクラスタ名物セッションが始まりましたが、これも良かった。

東京では13日に神保町でもう1回ライブがあります。出かけやすい昼の公演&大きい会場なので、まだご覧になっていない方は、この機会に体験されてはいかがでしょうか。

クラスタのライブレポートはこちらです。

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2016.10.16

MICHAEL MANRING JAPAN TOUR 2016

マイケル・マンリングのライブを聴きました。

私自身は1984年にウィンダムの夕べというコンサートでマイケル・ヘッジスとの競演者として聴いて以来で、CDやYouTubeで聴いてはいましたが、実に32年ぶりにライブを聴くことができました。しかも、初の単独公演とのことで、YouTubeでしか見たことのない超絶ベースが聴けるのかと思うと期待が高まります。
さほど広くもない渋谷AUBEという場所で行われましたが、演奏者と近くてもったいないくらいでした。エフェクターによるホールドを使ったハーモナイズやEBowでの持続音も交えた超絶テクニックと、ベーシストらしからぬ和声感と美しいメロディによる高い音楽性が発揮され、非常に充実したライブでした。
特に私の大好きなエノーマス・ルームが生で聴けたのは、一生の思い出になるでしょう。

終演後すぐに出てきて、気さくにファンに接していたので、私も列に並んで一緒に写真を撮ってもらいました。
1984年にヤマハホールでのコンサートを見たこと、マイケル・ヘッジスも好きなことなどを話したら、片言ながら通じたようで喜んでくれたようでした。

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