福田進一著 6弦上のアリア
前半のエッセイでは、大ギタリストがどのように作られたのかを垣間見ることができるだけでなく、物語としても面白く、特に、武者修行時代からパリコンで優勝するまでの経緯は感動的で、楽しく読むことができました。
さらに、修業時代に出てくる名前がすごい。近現代の作曲家や少し前の時代の巨匠と直に接していたこと、さらに、新世代の名手たちのデビュー時期にも遭遇していて、世界的巨匠になるにはこういった交友、さらにはそれを得る運も重要なんだなあと思いました。また、弾いた楽曲の量がハンパないこともうかがえて、これも巨匠の条件なんだなあと思います。
後半の対談も面白い。海外もさることながら、国内での交友関係の広さ、深さが国内マーケットでの成功の基礎になっているんだなあと思います。それも意図的でなく、自然に広がったことがうかがえるのが素晴らしい。
この本はギター音楽を愛好する人すべてにおすすめしたいと思います。他の楽器も含めプロとして身を立てようとしている若い人たちにも、参考になる書籍だと思いました。
付録のDVDで演奏も楽しめ、マスタークラスでは知り合いの秋田くんも登場していて、これもなんだか嬉しく、2,000円とは思えない濃い内容を楽しみました。
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