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2017.02.12

ヤマンドゥ・コスタ ギターリサイタル

贅沢なことに前回に引き続き今回はホールでヤマンドゥ・コスタを家族とともに聴くという幸せな機会を得ました。

ヤマンドゥの場合、ホールでのパフオーマンスはライブハウスの濃密さとは違って、開放的な気分になるようです。ちょうど前回のレポートで「山下和仁並のダイナミックス」と書きましたが、ここでは体の動きが山下的で、構えが柔軟に変わる上にギターも縦横無尽に動き、途中で立ち上がらんばかりかと思うと、曲のフィニッシュとともに本当に立ち上がるというエキサイティングな演奏。音楽も前回同様、怒涛のリズム、スピードと音圧、そして歌心。家族全員で興奮していました。
今回は、アンコールで友人と思われる女性ボーカル(この人の名前教えてください>誰か)が飛び入り参加し、そのキュートな風貌と暖かい歌声に感動しました。YouTubeやCDでも聴くことができますが、ヤマンドゥのセッション力の高さを体験することができ、次回はデュオやバンドでの来日も期待したいです。

終演後は、持参した(買わずにすみません)CDにサインをもらうべく長い列に並びました。ヤマンドゥは設営された席から立ち上がって全員と会話しながらサインや撮影に応じていて、だんだん列に沿ってこちらに近づいてきていました。順番が来ると、娘に優しく接してくれて、すでに音楽に魅了されていた娘はこの優しいスーパーギタリストが大好きになってしまいました。前日のガジェンもそうでしたが、一流の音楽家ほど人柄も素晴らしいものなのだなあと感じました。
ソティエなきあと、毎年このような素晴らしいギタリストを招致して、ギターファンに素晴らしい音楽体験を提供してくれるイーストエンド国際ギターフェスティバルを主宰している樋浦さんに感謝します。

<追記>
この日本ツアーの武蔵野スイングホールでの公演映像がYouTubeにアップされていました。少しでも雰囲気が伝わればと思うので張っておきます。

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2017.02.11

リカルド・ガジェン ギターリサイタル

以前、バッハのCDを聴いてから、来日を待ちわびていたリカルド・ガジェンのコンサートについに行くことができました。何年かに一度「XXショック」というようなものがあるとすれば、「ガジェン ショック」とでも言うべき日でした。

前半はバッハとソル。バッハ998は歌うことでフレーズを丁寧に聴かせてくれます。フーガのリピート時のバリエーションは装飾と言うよりドゥーブルのよう。そしてアタッカで入ったアレグロは快速な上に華やかな装飾による様式感も抜群で、CDよりもエキサイティングなこの上ない完成度。久しぶりに震えがきました。
ソルのソナタの上品な1 9世紀音楽といった演奏で、プログラムの中ではよい箸休めといった感じで前半終了。

後半はさらにパワーアップ。まずバリオスのワルツ3、4を続けて演奏。度肝を抜く速いスケールに圧倒されますが、ゆったりと歌うフレーズとの対比が素晴らしい。大聖堂もアゴーギクを効かせてしっとり歌う1、 2楽章から間髪入れず湧き上がってくる3楽章が瑞々しい。ロマン派の曲はかく弾くべしというメッセージを感じました。
そしてブローウェル。組曲2番は15歳の時の作品ながら完成度・難易度が高く、ロマンチックな旋律と南米らしいリズムの対比を楽しく聴かせてくれました。そして、日本初演のソナタ4番。さらにブローウェルらしい細かいパッセージと和音、リズムの組み合わせに高い技巧が求められるようで、組曲2番からより複雑に発展している現在の作風のコントラストの提示にプログラムの面白さを感じます。以前YouTubeで見かけたものの、ほぼ初めて聴く曲で、それなのに聴きやすく感じられ、4楽章があっという間でした。

全般に、その非常に高いテクニックを大胆なアゴーギク、デュナーミクの実現に用いることによって、音楽がわかりやすく提示されていると感じました。また、いずれのプログラムも曲の間、チューニングの音量も含めて神経を使っており、楽章のつながりを大切にすることで緊張感が保たれて、演奏の印象もより良いものになっていることに気づきました。実際にやるとなると難易度が高いことだと思います。18世紀からほぼ1世紀ずつ進み、21世紀に至る構成も見事でした。

アンコールはアルハンブラの思い出1曲でしたが、これだけの、しかも繊細に構成された重力級のプログラムの後では、ちょうどよいデザートといった趣きで、これはこれで好ましく感じました。
終演後は持参したCDにサインしてもらい、一番お気に入りのバッハアルバムであることを伝えることができました。

<追記>
ガジェン本人が、最終日のヤマンドゥとのセッションをアップしてました。本プロの大聖堂が入っているので貼っておきます。

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2017.02.06

Yamandu Costa×笹久保伸

とんでもないものを見てしまいました。

事前にYouTubeでもさんざん見ていて、CDも持っていて事前学習十分で臨んだヤマンドゥ・コスタでしたが、実物を、しかも間近で見ると予想を超えた怒涛の音楽に圧倒されてしました。
まず、強烈に強いタッチと極限まで速い指回りが生み出す圧倒的な音圧。それが歌心ある優しいタッチとの落差で山下和仁並のダイナミックスを生み出していました。リズムも凄く、細かいパッセージを弾きながら、いつも大きなうねりを感じ続けていて、それが観客にも心地よく伝わってきます。時々入るスキャット、口笛、ボーカルも心地よい。特に口笛が予習でみたものよりレベルアップしていたように思いました。
演奏曲は、予習済みの曲でも即興感あふれていて楽しく、最近作ったという曲も心に響きます。息子のために作ったという曲はよかったなあ。

そして、今回のオープニングアクトを飾った笹久保伸さんの演奏が聴けたのも大きな収穫でした。
ビートルズの前に演奏したドリフターズに勝るとも劣らないプレッシャーだったと思いますが、自分の音楽をしっかり表現することにとどまらず、南米のさまざまなリズムを独特の右手のテクニックを用いて聴かせてくれました。パーカッシブな奏法としては、北米の筋肉系ギタリストのそれより繊細かつバリエーションが豊かで、ヤマンドゥにない美点を見せていました。さらにアンコールでヤマンドゥとのデュオでもそのリズムを発揮し、力量に感服しました。

晴れたら空に豆まいては初めてでしたが、畳敷きの室内によって、広さのわりにそこそこのキャパを実現していて、空間の密度感が好ましく、また行ってみたいと思うライブハウスでした。

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