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2016.12.28

追悼 佐藤弘和さん

大好きな作曲家ギタリストだった佐藤弘和さんが亡くなり、お葬式にうかがってお見送りしました。

あまりにも暖かった命日に続き、前日の涙雨から青空なんて偉大な音楽家を送り出すのに相応し過ぎて悲しみが募ります。
とにかく優しい人で、お葬式でも生前の人柄が偲ばれました。ギター界でここまで優しさと才能を持ち合わせた人はいなかったでしょう。式の間に流れていた曲、弾かれた曲にあふれる優しさが参列者にも伝わっていることが感じられ、佐藤さんの曲は必ず弾き継がれていくことを確信しましたが、より多くの方に佐藤さんの曲を弾いてもらいたいとも思うので、演奏の思い出とともに追悼してみることにします。

佐藤さんの曲との出会いは、1990年代の初めに現代ギター誌に時々掲載された1ページの楽譜です。特段のプロフィールの記述もなく唐突に載っていて、新進のアコギの人かななどと思いながら弾いてみたら美しく弾きやすいので、以後出るたびに弾いていました。この頃の作品は、佐藤弘和ギター作品集「秋のソナチネ」に入っています。
この曲集は「素朴な歌」も収録されており、タイトル曲も含めて名曲ぞろいですね。

その後、オリジナル曲を参加条件とするオムニバスアルバムにお声をかけていただいたため、当時現代ギターの編集長だった故・菅原潤さんを通じて二重奏の作曲をお願いしました。それがこのSuite for Twoです。妻の曲想に関するリクエストにも応えていただいて、イメージどおりの曲になりました。その後、作品展vol.3でも演奏されていました。この曲はプロアマ問わず多くの人に弾いてもらいたいので、いつか出版していただきたいと思っています。

佐藤さんの作品の特長は、どれも美しく親しみやすいメロディながら、和声がおしゃれなところかなと思います。そこが好きでオフ会でよく使わせていただきました。
このSolitudeは現代ギターに1年間連載された二重奏シリーズの1曲で、特に気に入っています。作品展vol.3でも取り上げていらっしゃいました。

青空の向こうにの出版で、現代ギターに連載されたギター独奏曲はほぼ出版されたということですが、二重奏の連載などまだ出版されていない曲も入手できるようになることを期待しています。
また、タイトル曲は作品展、葬儀での小関さんの演奏が感動的でしたが、私個人としても思い入れがあります。
この曲は現代ギターで行っていたYouTubeを使ったムービーコンテストの最後の課題曲で、佐藤さんの新曲が課題曲になるということで、気合を入れて応募しました。
今回の出版を機に多くの人に弾かれる曲になるでしょう。

ギタードリームに掲載された「花の宴」は、日本的メロディを取り入れた美しい曲だと思い演奏しました。
廃刊になったギタードリームには毎号佐藤さんの曲が載っていて、編集方針からか弾きごたえのある曲が多かったように思いますが、現在は入手が困難になってきました。このようないい曲がたくさんあるので、これらも埋もれさせないために今後何らかの形で出版されることを願っています。

ベイビーズ・ソングもすっかり定番のシリーズになりました。オフで特集したときに、そのはしりとされる「やさしさ」を弾きました。こちらも風の間奏曲~48のやさしい小品集~に収録されたので、多くの人に弾かれるようになることが期待できますね。
しかし、こういう曲が新しく作られなくなると思うと残念です。

この夏には入院中にも関わらず精力的に作曲されていて、毎朝Facebookの投稿で増えていく新曲を多くの人が演奏しました。音を聞きたいという佐藤さんの要望に応え録音を投稿する人も現れ、私も参加させてもらいました。佐藤さんからのコメントもいただき、貴重な暖かい時間を共有させていただいたように思います。

その他にもいくつか弾いたので、プレイリストにしてあります。

編曲でも素晴らしい仕事をされていました。村治佳織さんのために編曲されたティアーズ・イン・ヘブン、戦場のメリークリスマス、カルメンなど多くの作品は、和声、構成ともに凝ったコンサートプログラムに相応しい本格的なレパートリーになりました。


個人的にビートルズものも提供していただきました。

これも佐藤さんからいただいた縁なのか、最近になって三重奏以上の演奏に参加させていただく機会ができ、佐藤さんの曲を積極的に取り組みはじめました。本当は四重奏を完成させて聴いていただきたかったのですが、代わりにちょっと前に演奏した(やや苦しい内容の)風にのって遠くの森へ行こうを張っておきます。

こうして、私が関わったものだけ見ても、ギター界が失ったものがいかに大きいかわかりますが、残された沢山の作品を大切に弾いていきたいと思います。

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2016.12.17

佐藤弘和ギター作品展 vol.6

佐藤弘和ギター作品展はvol.2vol.3vol.4vol.5と2回目以降ずっと拝聴してきました。今回は、療養中の佐藤さんにお目にかかるチャンスなので、まずは参加と思い参上しましたが、今年一番の素晴らしいコンサートでした。

独奏からから合奏までいろいろな編成を聴きましたが、共通するのはメロディが美しく、和声がしゃれていながら適度に意外性があることなのかなと思います。当日の会場では、その特徴が多くの人の心に響いていることが感じられました。
そして、編成が大きくなってもギターの特性が生きているので、素晴らしい演奏者の手にかかることで、メロディや和声の特徴はそのままで、リズムやデュナーミクなど音楽のダイナミズムが大きくなっていく感覚を楽しむことができました。その中でも原さんの演奏に風格とやさしい人柄がを感じられ、コンサートの始まりに厳粛な雰囲気を作っていました。また、アルポリールギタートリオの鳥の歌は、リズム、ダイナミクスともに以前よりパワーアップした名演でした。クアトロパロスも初めて聴きましたが、噂どおりの実力派アンサンブルでした。

最後の佐藤さんのお話は、ライブ演奏を聴くことで音楽を共有する喜びを感じ、ギター界で活動する人、メディアを応援することで活性化させて欲しいという願いがあふれていました。少なくともこのコンサートは、いろいろな層のギターファンを呼ぶことに成功していたし、そこで演奏されたレベルの高い音楽に多くの人が共感していたという点で、すでに高い次元で理想的な状態が創造されていたように思います。
私も自分の楽しみだけでなく、こういう場での出会いを大切にして、少しは役に立つことを意識しなくてはいけませんね。

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2016.12.14

第4回 クラシックギター演奏愛好会プチ発表会

前回に引き続きFacebookのグループ「クラシックギター演奏愛好会」のオフ会に参加しました。

今回は、新ネタとして、映画を見た学生の頃(いつだよ)から課題だった「風の谷のナウシカのサウンドトラックを組曲風に演奏する」に挑戦しました。当時は編曲譜もなかったので、レコードから耳コピして素人編曲で弾いていましたが、最近はいい編曲が出ていますので、それらを利用しました。
最初に弾いたナウシカ・レクイエムは小関佳宏さんの編曲を、その後の鳥の人と風の伝説(メインテーマ)は南澤大介さんの編曲をちょっといじって使っています。まず、6弦Dの風の伝説に合わせて他の曲もDで弾けるようにして、鳥の人からアタッカで入れるようにしました。また、風の伝説の終わり方を映画のエンディング風に変えました。これらを続けて弾くと、映画の主要なテーマを辿りながら、(以下映画ネタバレ)ナウシカが死んじゃってから復活して、みんな帰っていって、エンドロールがあって、腐海の底に落としてきたゴーグルと帽子がアップになるところまでが再現できます。(映画では風の伝説は短縮されますが)当日の演奏はちょっと痛いミスが散見されるので、このブログだけの限定公開で張っておきます。そのうち宅録でリベンジしたい。

次はディアンス追悼として、ヌアージュ。すぐに弾ける曲がこれしかなかったというのもありますが、ディアンス自身がいつもコンサートで弾いていて、動画が多く見られることから、おそらく本人も気に入っていたのではないかと思い弾くことにしました。ただし、当日練習しないでいきなり弾いたので、演奏に興味のある方は以前撮ったまずまずの動画の方をご覧ください。

最後に、無謀にもロドリーゴの祈りと踊りを弾きました。私にしては珍しく、断続的ながら長く弾いている曲で、一番作曲者の書いたものに近いと推測しているロメロ編をベースにしています。弾けるうちに自分なりの決定版を記録しておきたいと思って、再度練習を開始しました。今回の出来はいまひとつですが、記録としてこちらもブログ限定で貼り付けておこうと思います。

打ち上げでは、ギター談義に花が咲き、料理もおいしく充実した午後となりました。

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2016.12.05

第59回東京国際ギターコンクール観戦記

上記速報のとおり、今年も東京国際ギターコンクールを観戦しました。少し落ち着いて来ましたので、以下演奏順で感想など。

Tomasi Davide Giovanniさんは昨年に続きトップバッター(くじ運悪いのか)にも関わらず、前回5位からの逆襲で見事優勝。
テクニックは十分。音も大きくフレージングも繊細に表現していて美しい。武満でのハーモニクスの発音の美しさは特筆レベル。レゴンディは難しいんだろうけど曲はつまらなかった。課題曲は美しくまとめていた。ダウランドから始まりダウランドで終わるという考えられた組み立ては面白いけど、ルネサンス・バロックがこれだけ?との感は残りましたが、十分に優勝に値する演奏内容だと思いました。

Mengyi Liさんはピーボディでバルエコに習っているとのこと。それを彷彿とさせるメカニカルな指の動きは抜群。そのパワーで音楽にしてしまえるアサドは、これまで聴いたことのないレベルで音楽の輪郭が感じられたが、バッハは一本調子でもっと緩急やメロディーを奏でる表現が欲しい印象。課題曲は弾きなおしが痛い。ジュリアーニはパワーが音楽になる部分もあるので、メロディを歌えれば最高の演奏になるかも。

松本富有樹さんは、ルネッサンスから開始してバッハに入るあたりまで、歌い回しが美しくテクニックもしっかりして「おっ日本人にこんな人居たんだ」と思いました。テデスコはリズム表現とも良かったが、それ以外はミス多く残念な印象。プログラム中の目玉だったと思われるレゴンディも正直あまり曲が面白くなかった。ただ、リサイタルを聴いてみたいと思ったのはこの人が一番。次は期待できると思いました。

山田唯雄さんは、まずルネッサンスで堂々とした表現。おおっと思ったが、次のメルツは昨年の内容に比べると細かいミスが少し目立ったような気がした。マネンが良くできていただけに惜しい。でも、テクニックは他の参加者に引けを取らない印象。武満を日本人らしく深く読み込んだことを感じさせ、その上での切れの良い表現で一番良かったと思います。2楽章の「あそこ」をチョーキングでやったのはこの人だけ。

Jeremy Peretさんは、爆音系楽器(ジム・レッドゲイト)でとにかく音圧でかいけど、最初の方の曲はあまり印象に残っていません。ピアソラは好きな曲で、色気たっぷりの歌いまわしが良かったけど、間違えたところの前のフレーズから弾き直したのが、手癖で覚えている感じがして印象が悪かった。コンクールとしてはピアソラかヒナステラのどちらかにして全楽章やった方が良かったのでは。

最後はJi Hyung Parkさん。ファリャは無難な滑り出し。スカルラッティでテクニックを示し、テデスコは弱音を美しく鳴らして、フォルテとの対比が良かった。後半細かいミスが増えたけど、止まらずに流れを維持していました。
2人目以降、ちょっと残念な場面とか曲のつまらなさとかで飽きてきたところで、このまま終わるのかなと思っていたら、繊細に強弱をつけて歌い回し、ひたむきに表現するなかなかのテクニシャンが出てきて、「おおっ、この人来るかも」と思いました。そういう流れで印象が良くなった点はありますが、2位より良かったと思うし、見方によっては1位でもと思ったりもします。

どうも私の場合、2位に不満があるのが毎年の傾向のようですが、総じて納得感ある結果だったとは思います。いつもは退屈な(^_^;)課題曲も、聴く機会が多く、昔弾いたこともある武満だったので、より楽しく聴き比べることができました。

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