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2009.02.17

村治佳織/Plays Bach

このCDはギターで演奏するバッハの協奏曲を楽しみに発売直後に買いました。
実際、バッハの協奏曲はギターとの相性は良く、ギター合奏で時々演奏されますし、ジョン・ウイリアムズによるバイオリン協奏曲2番の録音もあります。また、チェンバロ協奏曲は旋律楽器用の協奏曲からの編曲と想定されているため、旋律楽器版に復元する代わりにギターに置き換えて、チェンバロの楽譜にある和音を取り入れて編曲するのは、悪くない発想だと思います。

ただ、どこか違和感も感じたため、元となったチェンバロ版と聴き比べてみることにしました。ちょっと古い演奏ですが、学生時代に好きだったイングリッシュ・コンサートが安価に購入できるので、チェンバロ協奏曲全集を入手しました。改めて聴いてみると、チェンバロの音質は弦楽のテュッティに埋もれやすく、ギターが勝っていると感じられる部分もあります。
しかし、ギターはスピードの限界が低く、急楽章のテンポを遅く設定せざるを得ないのは仕方ないとしても、ポジションチェンジなどで微妙なもたつきとフレーズ途中での音色変化が気になりました。やはり、ソロはスケールを鮮やかに奏でるチェンバロに分があります。また、通奏低音はある種のリズムセクションの機能があると思うんですが、華やかな和音で通奏低音を表現できる鍵盤楽器に比べると、ギターでは物足りなさを感じます。

ここまでくると復元版が聴きたくなり、オーボエ協奏曲集を入手しました。旋律楽器ゆえフレージング・アーティキュレーションが明快で、快速なフレーズもよどみなく、通奏低音もチェンバロに任せているため、演奏形態として理想的に思われ、一番楽しめました。

聴き比べた結果、村治佳織Plays Bachはチャレンジングで価値のある取り組みであり、スピード的に無理のないBWV1056の第一楽章や緩楽章は楽しめるのですが、他の協奏曲の急楽章では、山下和仁並みの超絶技巧と有無を言わせぬ押しの強さが欲しいと思いました。チェンバロ協奏曲のゆったりとした弦楽のスタイルが古くさく感じられるせいか、イージーリスニング的な印象もあります。国内では数少ない無伴奏バイオリンパルティータ2番全曲演奏が立派なだけに、惜しいように思います。しかし、スターである彼女は、バッハアルバムを独奏だけで勝負することはできないのかもしれません。

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